孤独の緩和

孤独の緩和

嬉しい時、悲しい時、その感情を共有し分かち合う人が誰もいないのは、本当に寂しいものです。嬉しいこと楽しいことは誰かに話したくなり、聴いてくれた人が一緒に喜んでくれると、その喜びは倍以上に膨らみます。悲しい時苦しい時には、信頼できる、心を許せる人に打ち明けるだけで、苦しさは半減されます。ひとりぼっちで辛く寂しい時、「傍にいるから大丈夫」その一言だけで心が楽になります。

お年寄りは、家族に、特に大切な自分の子供たちには迷惑をかけないように、悩みを表現しないで感情を閉じ込めている人が多くいます。人は実際に経験しないと、その人の本当の気持ちはわかりません。お年寄りには、歳をとって身体が不自由になり、これまでの役割が無くなっていく寂しさがあるのだと思います。ただ、その気持ちをわかろうとすることはできます。私たちの前では素直に感情を表現できるように「そのままの自分でいいよ」「悲しい時は泣いて、怒りたいときは怒って、嬉しい時は笑って、傍にいるから」そんな思いでお年寄りを見守っています。お婆ちゃん、お爺ちゃんたちが孤独にならないように、一緒に感動を分かち合える存在でありたいと思い、毎日を楽しんでいます。

高齢者の介護をする専門職には、人を思いやる想像力と、不安や悲しみや怒りを共にして、他者の心に寄り添い見守る強さが必要です。おたがいサロンのお年寄りの中には孤独を恐れずに、自由に自分を表現して自律した生き方の実践者として師匠のような存在がいます。人生経験豊かなお年寄りの方が、いつもドンと構えていて大きい存在感があり、励まされる毎日で自分はつくづく弱い人間だと反省です。

仙人のような長老たちの存在は生きる知恵の伝達者であり最高の親友です。これまで大変な人生を生き抜いてきたお年寄りが、人生の終末に孤独にならないよう、その心に寄り添える人間に成長できるように時間を大切にしています。

感動を人と分かち合うのは喜びなのだと、自分が孤独になってみて実感したからこそ、人の存在に心から感謝しています。

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