【解444】恐れは仕事の必要条件。日々初心に立ち返ることで仲間と共に成長できる – 室蘭の小さなデイサービスより
「共生型」デイサービスは、とても特殊です。福祉業界で仕事をしてきた人にとっても、それまでの経験が通用しない未知の領域と感じてしまうほどに。でもそれは、共生型が正しい在り方で、他の事業所はまちがっているということでは決してありません。福祉業界の人たちの中には、利用者さんたちのために懸命に、努力を惜しまず仕事をしている人がたくさんいることを知っています。それぞれのスタイルがあってよいと思います。多様性に溢れている方が、サービスを利用する側からしても選択の幅が広がり、よいことではないでしょうか。
今日はこの記事から、「人の命を預かる」ことへの「恐れ」の感情がいかに尊いものであるか、どのように人を成長させるかについて考えてみました。
おたがいサロンでは、一人ひとりの利用者さんの自由を最大限に保障し、誠実に向き合うことを大切にしています。その背後にいらっしゃる家族の顔もよく見えます。だから、「ご家族に代わって人の命と生活をお預かり」している仕事の「責任の重たさ」を一層痛感することになるのだと思います。
今まで何気なくこなしていた仕事の一つひとつが、重圧となってのしかかることもありえます。そうなると「恐れ」の感情が湧いてくるのはとても自然なことです。
「人の命と生活を預かる」ということは、とても大変なことです。だから、そのことと真剣に向き合うときに出会う「自分自身の恐れ」は、大切な感情です。誠実であろうとすればするほど、「恐れ」もまた増幅するはずです。命に携わる人間にとり、この「恐れ」はとても重要な感情だと思います。専門職としての必要条件だといっても言い過ぎではないと思ってます。
はじめて福祉の世界に飛び込んだ時は、感じていたであろう「恐れ」が、いつの間にか「慣れ」によって薄まってしまうことがありますが、とても危険なことだと思います。実際、事故につながる問題の多くは、「慣れ」による慢心に由来しています。
長く仕事をしていると、当然、仕事にも慣れますから、「恐れ」を抱くことがない状態になってしまいやすいです。だから、福祉業界で長く仕事をしていながら、「恐れ」の感情を抱くことができるのは、とても素晴らしいことだと思います。
だからこそ、その感情を原動力としながら、「専門知識と技能」を真剣に学びます。それは、「利用者さんとその家族のため」であり、結果として、専門職としての成長を後押ししてくれます。
おたがいサロンには、共に悩みを分かち合い、切磋琢磨してくる仲間がたくさんいます。孤独に頑張るのは、とても苦しいです。そんなとき、すぐ手をさしのべてくれる仲間の存在は大きいです。「人間相手の仕事」に、こうすればうまくいく、という正解はありません。人間は一人ひとり違いますし、変わっていくものです。昨日はうまくいったけど、今日はうまくいかないということもあります。
だから、その都度、一人ひとりと誠実にかかわりつつ、何が最善かを「共に」模索していくことが大切です。必要とあれば、利用者さんとその家族のために知識を学び、スキルをみがきます。自分の至らなさを幾度となく思い知らされ、かっこ悪い自分と向き合い、もがきながらも仲間と上を目指す姿は、キラキラ輝いています。その仲間には、もちろん利用者さんたちもいるので、とても心強い環境です。
求められるスキルは違いますが、この意味での「初心を忘れない」は、他の業界でも同じだと思います。
人の命をあずかる医療の世界では「患者さんのため」
サービス業であれば、「お客さんのため」
学校教育であれば、「生徒/学生のため」
「なんのために？誰のために？」この仕事を選んだんだろうという「初心に立ち返る日々」の積み重ねが、大きな成長につながるのだと思います。
逆に言えば、この初心を見失うとき、仕事はいびつになっていくのだろうと思います。
（つるっち）
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